現役フリーランス SAPコンサルタント
FIコンサルタントA 氏、MMコンサルタントB

<SAPプロ座談会>リモート時代を迎えたSAPプロ人材の働き方とは、そしてSAP 2027年問題と今後のキャリアの関係は

今2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界が一変したといっても過言ではありません。日本社会でも、テレワークやリモートワークといわれる働き方を余儀なくされる企業が急増。それに比例して、企業をクライアントとするフリーランスもリモートでのプロジェクト参画が増加しています。

今回は、SAPコンサルタントとして活躍されているプロフェッショナル人材のお二人に、フリーランスという立場からみた昨今のリモートワーク、SAPのプロフェッショナル人材にとっては気になる「SAPの2027年問題」と今後のキャリア、お二人の思う「興味深いプロジェクト」などについて、お話を伺いました。

リモートスタート&フルリモートのプロジェクト参画という経験

お二人のこれまでの経歴と、いま参画されているプロジェクトについて、教えてください。

FIコンサルタント(以下、FIコンサル):私は3年前に独立して、フリーでSAPのFI(財務会計)コンサルタントを務めています。今の仕事には、プロジェクトが始まって間もない7月から参画しています。2022年まで続く予定の巨大なプロジェクトで、私は会計チームのリーダーの1人という役割です。

MMコンサルタント(以下、MMコンサル):私はもともと物流業界で働いていたのですが、そこでたまたま携わったSAPの導入プロジェクトがとても面白くて、コンサルへ転身。経験を積んだのち、独立してフリーランスになりました。メインはMM(購買・在庫)コンサルタントですが、近年はお客様の立場で、社内の情報システム部門のサポート的な役割で参画する仕事も増えています。今参画しているプロジェクトでは、ファシリテーターとしてお客様サイドのテストリードのポジションで仕事をしています。

今のプロジェクトでは、フルリモートで仕事をされているのですか?

両名:そうです。

MMコンサル:私は6月末から今の仕事に参画していますが、まさに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、最初からリモートでのスタートとなりました。みらいワークスさんとも電話だけのやりとりですし、プロジェクトのメンバーとも一度も会わないまま仕事が始まっています。顔や性格を誰一人知らない状況でのオフラインでのプロジェクトというのは、なかなか斬新です。

リモートワークには、ポジティブな要素とネガティブな要素があると思います。お二人が思うリモートワークのメリット・デメリットとは何でしょうか?

MMコンサル:出勤する働き方では、チームのみんなと日々一緒に活動するような仕事を楽しいと感じていましたし、仕事中のちょっとした雑談はいいリフレッシュになりました。仕事後にみんなで飲みに行くのも好きでした。フルリモートではそうしたものが一切消え、人と直接話すことがあまりにも少なくなってしまいました。突然1人になってしまったような感覚で、最初は寂しさや違和感がありました。

でも、今はもうすっかり慣れ、その分リモートワークのメリットの大きさを体感しています。無駄な移動時間をなくすことができますし、家で黙々と仕事できて効率がいい面もあります。私は身体があまり強くないのですが、出勤することなく家で休み休み仕事を進められるリモートワークでは、仕事に穴をあけるということがなくなりました。仕事とプライベートの時間の使い方を自分の裁量で調整しやすいというのも助かっています。

FIコンサル:リモートのメリットとしては、やっぱり通勤時間ですね。今までであれば、私は通勤に往復で3時間ほどかかっていましたが、今はその時間を仕事にそのままシフトできます。デメリットは、プロジェクトメンバーとコミュニケーションがとりづらいということ。同じ職場にいれば、毎日席をまわって一声かけたりすることもできますが、場所が離れているのでそうもいきません。

 

リモートワークの難しさはポジションによって変わる

コミュニケーションにおいて、チャットツールなどは使っていますか?

FIコンサル:プロジェクトではMicrosoft Teamsをメインで使っており、いつも通りメンバーからチャットは飛んできますが、1人1人アクティブなタイミングが違うことも多く、タイムリーにコミュニケーションをとることができないということが少なくありません。

一応、ビジネスタイムはみんなアクティブにしておくというルールになってはいるのですが、実際は各自が比較的自由に時間を使っています。また、家の用事などでOFFになる時間を事前に通知してくれるメンバーもいれば、こちらがチャットで連絡を取ろうとしたときに相手がアクティブでないことがわかるということもあるような状態です。

私はチームのリーダーというポジションで、役割は約20人のプロジェクトメンバーのマネジメントです。プロジェクトに適切な方針を出したり、メンバーが気持ちよく働ける環境をつくったりするのがメインの仕事。ですから、本来であれば、リーダーとしてメンバーと密にコミュニケーションを図り、1人1人が何をしている状況なのかを把握する必要があるのですが、正直に言えば、メンバーが何をしているかわからない状況がずっと続いています。

MMコンサル:どのプロジェクトでも、どのお客様でも、コミュニケーションに関する悩みや問題はありますよね。それをスムーズにしようとコミュニケーションを図るわけですが、そこで会ったこともない人を相手に、声だけのやりとり、文字だけのやりとりをするとなると、コミュニケーションがなかなか発展しづらいということもあるのかなと感じたことはあります。とはいえ、電話会議でも近しく感じられる人もいますし、本当にさまざまですよね。

プロジェクト関係者と電話でお話しすることはありますか? その際、事前にチャットで「電話してもいいですか」と確認をするのでしょうか?

FIコンサル:チームリーダーが私を入れて3人いるのですが、リーダー同士では電話で話すこともあります。メンバーとはほとんどありません。

MMコンサル:電話をかけるにしても、相手の現状がわかりづらいというのは、リモートワークだからこそ特にあると思います。ですので、気を遣ったほうがいいと思うときは事前に「電話してもいいですか」とチャットで一報入れることもありますし、急ぎなら直接電話をかけることもあります。

コミュニケーションの内容によっては、チャットの文字で確認できるほうがいい内容もありますし、反対にセンシティブで文字に残したくないようなことは電話したほうがいいということもありますよね。人や内容によって、いろいろなツールややり方を使い分けるというのは重要だと思います。

リモートを難しいと感じるかどうかは、ポジションによっても変わりますよね。私が実感しているリモートワークのメリットとデメリットを割合でいうと、8割から9割近くは「メリット」。これは私が、今のプロジェクトではチームでのワークという形ではなく1人で動いていて、そういうスタイルとリモートワークが非常にマッチするということでしょう。

仕事の役割にリモートワークという働き方がマッチしているかどうかが、リモートワークの難しさに大きく影響する——。これはSAPプロジェクトに限らず、リモートワーク、特にフリーランスのリモートワーク全般にいえることではないでしょうか。

SAPコンサルタントが思う「2027年」以降のキャリア

SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP ERP 6.0」のメインストリームサポートが終了する2027年には、SAPに関する案件が減少するのではないかといわれています。この「2027年問題」がご自身のキャリアにどう影響するか、2027年以降のご自身の方向性をどのように想定していらっしゃるかなど、現段階での率直なお考えを聞かせてください。

FIコンサル:結論からいえば、私自身は、仕事自体がなくなるような危惧はもっていません。SAPの案件が7年後にいきなりパタッとなくなるわけではなく、それなりの数は引き続きあるのかなと思っています。

SAP ERPのサポートが終了すれば、新しく導入する案件は減るかもしれませんが、保守・運用の案件はそのあとも存在するでしょう。SAP ERPを使い続ける企業がある限り、保守・運用はずっと必要になりますから。そうなれば、保守・運用の仕事をすることもできます。

そもそも、SAPが未来永劫“大丈夫”だとは思っていません。もちろんSAP製品は優れていますが、他社のERP製品も極端に劣るわけではありませんから。私はOracle ERPの案件も経験していて、SAPとOracleにそれほどの大差はないと実感していますし、MicrosoftのDynamicsもしかりです。そうした中から、いつかはSAPに取って代わるものが出てくるでしょう。

それでも、私には基幹システムのシステム構築や保守・運用といったスキルがありますし、企業の会計や販売・物流、生産管理などの基幹系を支えるシステムは今後もなくならないはずです。それであれば、もし仮に7年後にSAPが廃れて次のものが出てきたとしても、そちらに切り替えれば仕事を獲得することができる。そう考えています。

そうなれば“新しい挑戦”ということになると思いますが、不安はありませんか?

FIコンサル:ええ。たとえば、私が携わっている会計という分野では、国の法律に準拠して行なわれる「制度会計」というものがありますが、もう何十年もその内容はほとんど変わっていません。また昨今では「国際会計基準」への切り替えが進んでいますが、従来の会計とそれほど大きな違いがあるわけではありません。そうした状況を考えれば、会計というものをきちんと押さえてさえいれば、扱うものがSAPでなくても、何の影響もないと思っています。極端なことをいえば、明日SAPが倒産しても別に大丈夫ですね。

MMコンサル:私はもともと、ITやシステム寄りではなく、業務寄りからSAPコンサルの世界に入っています。システムはSAPしか知りませんが、システムに関心やモチベーションがあるということでもありませんし、SAPに限らず仕事を展開していくことはできると思います。

SAP導入の特定フェーズでしか生きられないというような方の場合は、2027年問題はより深刻に感じられるかもしれません。しかし、特定のシステムではなく業務、コンサルティングの確かな経験とスキルがあれば、それを生かして次の時代に合うように変化していくことができるということですね。これこそがプロ人材の強みであると、お話を伺っていて強く感じました。

フリーランスならではの「魅力的な仕事」とは

独立してフリーランスとして仕事をされているプロフェッショナル人材の方々が案件を選択するにあたっては、報酬面ももちろん大きな要素だと思いますが、“面白い”と思える案件や、お金以外のプラスアルファの要素を求めていらっしゃる方も少なくないのではと考えています。

FIコンサル:SAPの導入案件では、業務自体には共通点が多いのですが、クライアントの業種や業界は多種多様。そこに一番興味があります。

これまで経験した中で特に面白いと感じたのは、ある著名な独立行政法人のプロジェクトですね。ロケットを打ち上げるような法人なので、会計システムの固定資産の話に人工衛星が出てくる。そして、何千億円分の固定資産が地球の周りをまわっているわけです。固定資産が地球の外にあるというのは、通常の案件ではなかなかありません。仕事で宇宙の話をするのは楽しかったです。

MMコンサル:以前の案件でQM(品質管理)モジュールを担当したことがありました。私はMMコンサルなのですが、そのときは扱った内容が自分にとてもフィットしていると感じられました。お客様とも話が通じて仕事として面白味を感じ、私は意外とQMに向いているのだなと思いました。

 案件を選ぶ際、何を重視しますか?

MMコンサル:ポジションですね。私は、どういうふうに工夫して、どうやったらできるかなと自分で考えるのが楽しいので、ある程度自分の裁量で提案したり動いたりできるポジションの仕事にやりがいを感じます。

それと、仕事のしやすさという観点では、お客様の求めるもの、プロジェクトの体制や役割分担がある程度明確になっていることも選択のポイントです。中には「具体的に何をするかは、入ってから考えましょう」みたいな案件もありますが、対応することが流動的に変わっていくと「こんなことやりたくなかったのに」と感じてしまうような状態に陥ることも。それはお互いに不幸ですよね。

FIコンサル:私がプロジェクトを選ぶ際の最終的な基準は、リーダーの人柄、性格です。プロジェクトのお話をいただいて面談をする中で、そのポジションの方には必ずお会いしますよね。そこでどんな質問をされるか、こちらの話をどういうふうに聞いてくださっているか、そういったところを拝見して得た印象から決めています。

SAPのプロジェクトは、内容としてはどれもあまり変わりがありません。私のスキルはオールマイティで、お客様の立場でもベンダーの立場でも両方の役割を務めることができますので、これらで重視することは特にありません。リーダーの性格、この1点を重視しています。

今回のプロジェクトでは私の直属の上司にあたる方と面談でお会いでき、その方の人柄を重視して参画を決めました。実際にプロジェクトに参画してからも、面談のときの第一印象通りの方だなと実感しています。

リーダーの人柄が自分と合うどうかを見ているということでしょうか? もし実際に入って印象と違っていたら?

FIコンサル:私は温厚な性格なので、人と争うことはそれほどありません。それでも、たまにどうしても合わない人もいます。面談時間は短いのですが、人柄は言葉や話し方に出ますから、そこで明らかに合わないと思ったらその案件は避けます。

もちろん、面談時には合うと思っていても実際に入ってみたら印象が違ったということもあります。その場合は、契約期間満了の時点でプロジェクトを抜けます。多くのプロジェクトは3カ月ごとの契約ですから、最短で3カ月仕事をすれば終了することができます。これも、独立したメリットの一つといえるでしょう。

MMコンサル:プロジェクトの内容や細部に関わることは、事前に話を伺ったつもりでも、実際に参画しないとわからないことが多いです。反対に、短い面談時間でも話をする中で何かひっかかるものがあれば、参画したとき必ずどこかで何かがある。そういうことは、場数を踏んでわかるようになってきたつもりです。経験を通じて磨かれる勘、フィーリングも、フリーランスが生きていくうえでは大切にすべき“スキル”ですよね。

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