リース株式会社
代表取締役/CEO
中道 康徳(なかみち やすのり)

信用情報を新しい“物差し”ではかり、適正な与信を提供することで、フリーランスの活躍を後押ししたい

中道 康徳(なかみち やすのり)

リース株式会社 代表取締役/CEO

1983年生まれ。新卒で株式会社ジョイント・プロパティに入社。同社および住友不動産株式会社にて、不動産に関する業務に従事。その後、株式会社ネクスト(現・株式会社LIFULL)で不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」の提携サイト開発業務、ソニー系列のSMN株式会社でDSP「Logicad」の企画開発およびSSP「Pubmatic」の国内拡大支援を担当。2015年7月、不動産テックのスタートアップである株式会社ターミナル(現・スマサテ株式会社)を設立し、不動産のおとり広告を除去するサービスなどを展開。2018年9月、リース株式会社を設立、現職に就任。

※役職は、インタビュー実施当時(2021年1月)のものです。

尹 英俊(ゆん よんじゅん/youngjunyoon)

リース株式会社 取締役/CSO(Chief Strategy Officer)

1985年生まれ。新卒で伊藤忠商事株式会社に入社し、食料カンパニーに従事。退職後、日米韓で展開するビジネスSNSアプリのスタートアップにて日本法人の立ち上げやVCからの資金調達を経て、不動産テック事業を手掛ける株式会社GA technologiesの経営戦略に携わる。2019年5月、リース株式会社の取締役に就任。

※役職は、インタビュー実施当時(2021年1月)のものです。

◆リース株式会社◆

https://rease.co.jp/

2018年9月設立。信用経済社会(評価経済社会)における与信プラットフォームを目指すCreditTechのスタートアップとして、フリーランス特化型の家賃保証付きお部屋探しアプリ「smeta(スメタ)」の開発・運営や、AIを用いた与信評価エンジンの企画・開発などを手掛ける。「個人の信用価値を最大化する」をミッションに掲げ、個人の信用力の“見える化”(信用スコアリング)、与信データを自由に利活用できる与信プラットフォームの構築を通じて、不動産・金融市場および消費者信用産業市場の成長と発展に寄与することを目指す。2020年11月、総務省の2020年度「OPEN 異能 (inno)vation 2020」プログラムにおいて、ジェネレーションアワード部門の企業特別賞(株式会社みらいワークス)を受賞。

ICT分野において破壊的な価値創造を生み出すため、奇想天外でアンビシャスな技術課題への挑戦を総務省が支援するプログラム「OPEN異能 (inno)vation」。みらいワークスは、このプログラムに協力協賛企業として参加しています。そして2020年度のプログラムに応募された16,000件余りのチャレンジのなかから、「ジェネレーションアワード部門」の企業特別賞(みらいワークス賞)」に選ばせていただいたのが、リース株式会社の運営するフリーランス特化型の家賃保証付きお部屋探しアプリ「smeta(スメタ)」です。

フリーランスとして働く方々の多くが経験することの一つに、「賃貸物件を借りようとしても審査が通らない」ということがあります。そうした状況を踏まえ、フリーランスでも賃貸物件が借りやすくなるような仕組みをアプリで提供しているのが「smeta」というサービスですが、リースの目指すところはそれだけではありません。今回は、代表取締役の中道康徳さんと取締役の尹英俊さんに、「smeta」というサービスをはじめとする、信用経済社会における与信プラットフォームを目指すリース株式会社の事業について、そしてフリーランスの人材における信用について、お話をうかがいました。

ビジネスの根本は「不動産業界を活性化したい」という思い

中道 康徳氏(左)、尹 英俊氏(右)

改めて、この度は受賞おめでとうございます。フリーランスの方々の多くが直面する「賃貸物件を借りるハードルが高い」という問題を解決できる「smeta」というサービスは、同じくフリーランスのプロフェッショナル人材の活躍を支援するみらいワークスとして共感しますし、非常に画期的なサービスであると感じます。

中道さん(以下、敬称略):数多くのプログラムのなかで「smeta」というサービスをご評価いただいたことは、本当にありがたい限りです。

まずは、そのサービスを開発するに至った中道さんのご経歴について教えてください。

中道:私はもともと建築物や不動産物件が好きで、建築士になろうと考えていました。そのため学生時代は建築学部で学び、新卒で不動産デベロッパーに入社しました。建築の道に進むと、建築事務所を構えるなどし、いずれは独立するというステップが一般的なため、私にとっては独立という選択肢が特別と感覚はあまりなく、いつかは独立して仕事できればと考えていました。

意識が変わったのは、就職してからのこと。入社した会社では経営企画室に配属されたのですが、その当時の上司が未来を見ている方で、「不動産業界はこのままでは立ち行かなくなる」という問題意識を強く持っていらっしゃいました。そして私にも、何が問題で、何を変える必要があるかといったことを丁寧に教えてくださったのです。

実際に仕事を覚えていくうちに、私自身も不動産業界の将来について危機意識を感じるようになりました。そこで、不動産の流通を活性化させるような仕組みを何か構築できないかと模索を始め、着目したのがデジタルの強みを不動産業界に活かすこと。不動産業界においてデジタルの強みの浸透は圧倒的に遅く、ここのスキルを高めれば従来のアナログの強みとの相乗効果で不動産の流通化につながるようなことができるのではないかと考えるようになりました。

その思いからサイト開発やアドテク(アドテクノロジー。広告配信の効率アップのシステム)に携わる経験を経て、独立を果たされました。独立時は最初からこのビジネスをお考えでしたか?

中道:いえ、ここにたどりつくまでには二転三転しています。当初は、家を借りる方の属性や傾向を整備し、不動産事業者に提供するビジネスを考えていました。属性や傾向とは、長く住んでくれる方や、夜中に楽器を演奏し近隣に迷惑をかける方といった情報ですね。しかしながら、属性や傾向など個人を判断する重要な情報を扱おうとすると、リースの信用力がある程度必要とわかりました。名の知れた大企業であれば扱えるデータも、リースでは扱わせてもらえないわけです。

そこで今度は、属性や傾向情報を流通させるプラットフォームを作り、情報の登録や編集が行えるシステムを提供しようと変化させました。ところが、ここでも同様に、リースvの信用力が問題となり、スタートアップ企業に情報を渡すことに対する抵抗感を示されました。

となれば、その信用力というものを自分達で証明するしかありません。そこから、不動産を扱うための宅建免許を、個人情報を扱う外部認証のISMSやPマークを取得し、属性や傾向を独自に収集できるシステムを立ち上げ、同時にアプリを開発し、2020年の4月から現在の事業を始めました。事業の方向性を修正し実際に立ち上げるまでの準備期間はおよそ1年でした。

そのサービスが「smeta」なのですね。詳しくうかがえますか?

中道:「smeta」を一言でいうと、フリーランスのための家賃保証付きお部屋探しアプリです。大きな特徴は、「賃貸物件を探せる」ことに加えて家賃保証(賃貸住宅を借りるための保証)がワンセットになったサービスという点で、これは日本初です。これにより、お部屋を借りるまでに発生するやり取りが大幅に削減されます。

ユーザーの方に、「smeta」のアプリを通じてご自身の収入証明や身分証明書類などを提示いただくと、リースがその方のお支払い能力をはかり、「あなたが借りることのできる物件の家賃は○円です」という上限家賃を提示します。これが「smeta」における“与信枠”で、リースはこの与信枠内でユーザーの“保証人”となります。

そして「smeta」で賃貸物件を探していただき、与信枠内に収まる家賃の賃貸物件をお申し込みいただくと、ユーザーは賃貸物件の入居審査で落ちることなく契約できるという流れです。リースは宅建免許を取得しており、パートナーである不動産会社の物件も含め、さまざまな物件情報をご紹介しているほか、賃貸契約に関する手続きを総合的にサポートしております。そうした点でもご安心いただけるかと思います。

弊社みらいワークスの人材マッチングサービス「FreeConsultant.jp」にご登録いただいているプロフェッショナル人材の方々を対象にアンケートを実施したところ、月に100万円以上の収入を得るようなフリーランスの方でも「賃貸契約を申し込んでも審査が通りにくい」といった声がありました。

尹さん(以下、敬称略):何千万円という高額の収入があるエクスパット(現地駐在員。グローバル展開する企業などの現地法人で働いている人)や、個人投資家でも、賃貸物件を借りられないということはまったく珍しくありません。

中道:また、高齢者や外国人も同様に、収入があっても与信における「信用」を得られないことが少なくありません。「smeta」はそうした方々にもお使いいただけるサービスです。

「十分な収入があるのに、社会的信用がないため家を借りられない」を変えたい

現在、御社の従業員は何人ぐらい?

中道:現在は、従業員としては6名、20代と30代が半々ぐらいです。モノづくりが好きで、エンジニアよりな思考回路のためメンバーとのコミュニケーションが滑らかにできないことがあるのですが、そうした場面では取締役の尹(ゆん)が間に入って“翻訳”してくれます。間を取り持ってうまくほぐしてくれるので、ありがたいです。

尹さんも不動産業界にいらしたのですか? これまでのご経歴と、リースにジョインするまでの道のりを教えてください。

尹:私は、最初は商社で働き、そこからグローバルスタートアップの日本法人の立ち上げやVCからの資金調達に従事した後、不動産テックベンチャーの経営戦略チームにてプレIPOからポストIPOまでを経験させていただきました。次の進路を考えるようになったとき、不動産の道をさらに追求するという選択肢もありましたが、中道も言っていたように、不動産業界の更なる発展のためには不動産というアセットの流通を滑らかにし、流通量を増やすだけではなかなか難しく思われました。

けれど、「信用」や「金融」といった切り口で不動産業界を見ると、まったく違う展望が開けることに気づいた。そこで「不動産×信用」というクロステックで、不動産領域の可能性を拡張したいと考えたのです。中道とはリースに参画する2年ほど前に知人を介して知り合い、リースを立ち上げる少し前くらいから「こういうことをしたいんだ」という話をしていました。その方向性が中道と同じでしたので、合流したというわけです。

「smeta」は非常に意義深いサービスですが、賃貸領域で信用というものを扱おうとなさったのには何か理由がおありだったのですか?

中道:根本にあるのは、私自身が家を借りられないという経験をしたことです。立ち上げたスタートアップを離れ、フリーランスとして活動しており、4社ほどから依頼をいただき顧問を務めていました。この時期に、家も借りられなければ、銀行口座を作ることすらままならなかった体験をし、雇用されていないことがこんなにも影響を与えることなんだと実感したのです。

日本でフリーランスという働き方を選択していると、たとえ収入が十分あったとしても、その与信評価は会社員と比べて低く評価されてしまいます。「お金を借りるための信用力が見えない」と判断されてしまうのです。お金が借りられなければ、生活基盤となる家も借りられません。そうした状況を変えたいという思い、smetaを提供しています。

家を借りようとしたときに多くの方が考えるのが「自分の収入のなかで、いくらまでなら家賃を支払うことができるか」ということですが、「家賃いくらまでなら審査が通るか」という与信の面で目安の金額を提示するというのは新しいですね。

中道:「家賃いくらまでなら審査が通るか」というのは、ご自身ではわからないことですよね。だからミスマッチが起こってしまいます。この点をクリアし、かつその与信枠内でリースが保証することで、確実に家を借りることができる。加えて、「smeta」を通じて借りた物件の家賃の支払い履歴が蓄積され、これを与信枠に反映させることで次の物件探しに活かせるようになります。ここまでを請け負っているサービスは、国内では当社のみです。

競合は?

中道:今のところありません。単純な与信サービスを提供されている企業は多数ありますが、不動産領域で与信を供与したり、与信が蓄積されるサービスはほかにはありません。

尹:この分野の参入障壁は決して低くありません。数年前には、ソニーやヤフーのようないわゆるテック側の企業が不動産業界に進出しようとする動きも見られましたが、いずれも断念しています。

不動産に関するレギュレーションや、もろもろのしがらみを全部かみ砕いて咀嚼して、その上でベストプラクティスを再構築すること自体ハードルが高いのです。仮にその画を描くことができたとしても、今度はそれを実現するために一つひとつ問題をクリアしていかなければなりません。そのストーリーを描くのは難しく、戦略は描けても戦術がついてこないということになります。

僕らも2年ほど、いろいろ方向転換しながらここまで進めてきましたが、今のところ僕ら以上のベストプラクティスを、僕らは思いつきません。仮に誰かが“ウルトラC”を見つけることができたとしても、そこには限界があって、僕らがひっくり返されるオセロゲームにはならないでしょう。

「smeta」の家賃保証という部分でいえば、既存の家賃保証会社が競合となります。けれども、彼らが僕らのようなサービスを展開できるかといえば、絶対といえるほど実現できないでしょう。その自負は強いです。ハードルは非常に高いですが、マーケットは広大で、現状を変えようとしているプレイヤーも少ない今の状況は、いわば“やったもの勝ち”です。

課題の本質に当たることでビジネスはより拡張できるようになる

「smeta」のサービスでは、御社がユーザーの方々の信用をはかり、保証会社として機能しています。この部分には大変なところも多いのではないかと思います。

尹:「家を借りられない」という問題を解決するだけなら、その方法はいろいろ考えられるでしょう。「新しい保証会社をつくります」もその一つになり得るものです。しかし、僕らが達成しようとしているのはその段階ではありません。

今まで日本で行なわれていた審査、信用のはかり方というのは、終身雇用を前提とした会社員が圧倒的マジョリティであった時代に作られたものです。その物差しで、新しい働き方であるフリーランスの方々の信用をはかることができないというのが、今起こっている問題の本質ですよね。僕らは、この本質にアプローチしたいと考えています。

では、その本質にアプローチして、問題を解決するにはどうしたらいいか、その解の一つが、僕らのように新しいはかり方、新しい物差しを作るということです。信用情報を集めてはかる、そのはかり方、はかるための物差しが違えば、当然結果は変わってきます。この段階から当たることで、今後の事業の拡張性はまったく違うものになると思っています。

中道:リースは今、「smeta」を通じてフリーランスの方々の「借りられない」を解消していますが、今後はフリーランスの方々の「買えない」も解消したいです。現状、フリーランスの方がローンを申し込んでも審査で落とされてしまうことが多いです。そこでリースの持っている取引情報や蓄積した信用情報を金融機関に取次し、審査に反映していただくことで、ローンの利用が容易になり、買いたいものを買えるようになる、といった具合です。これが実現できれば、家だけでなくいろいろなものにつなげることができます。

その新しい物差しとはどのようなものに?

尹:今考えている内容を端的にいうと、その人の行動履歴、活動履歴、約束履行能力といった「実績」と、それらから類推され得る「未来に対する期待値」に基づき個人の信用度をはかる、というものです。例えば、月額10万円を10年間にわたって一度も遅れることなく支払い続けてきたという行動の蓄積は、立派な実績です。先ほどご説明した、「smeta」に蓄積された家賃の支払い実績が与信枠増につながるというのは、まさにこの考え方です。

反対に、大手企業に勤めていて一定の収入はあるものの、毎日のように飲み歩いてお金を使い、友人から借りたお金の返済も滞りがちといった行動は、負の実績といえます。人の信用度というものをはかるならば、そこまできちんと人を見るべきだと思うのです。

中道:シンプルなことをいうと、「約束を守る人かどうか」です。これは、とても大事なことです。収入の大半を交際費に使ってしまってももちろん構いません。ただ、そこで、支払わなければならない家賃の分をきちんと残してあるかどうか。「稼ぐ能力」だけではなく、「返済する意志」と「返済する能力」の両方が必要なのです。

尹:今の評価基準では、同じ企業に同じ年次で入社した2人の信用情報における「稼ぐ能力」の評価は、基本的に同等と見られることが多いでしょう。では、「返済する力」「返済する意志」はどうかといえば、それは勤務先のネームバリューからは判断できません。そこをきちんとはかるためには、個人個人の行動、人柄を見て、その人の信用度をはかるということが必要であると思います。

意志を可視化するというのは難しそうです。

中道:そこをどう可視化するかというのが肝ですよね。決められた家賃を支払っているかどうかはもちろん、事前に入金するか、自動引落の前に口座に入金されているといった行動履歴からはかるなども考えられるでしょう。

また、フリーランスの方の場合は、依頼されたプロジェクトを約束した期限内に完遂したか、納品した成果物が発注者の求めるクオリティーを満たせていたか、発注者の客観的な評価はどうだったかといった、仕事の行動履歴や業務の実績も重要な情報で、リースはこれをかなり大事にしています。

尹:リースは、株主でもあるクラウドソーシングプラットフォームのランサーズ株式会社のプラットフォーム「Lancers」と連携しており、定性的な評価をデータにした定量情報を参照することができます。そうした履歴なども評価して信用度をはかることで、真面目にがんばる方が、チャンスをより得られるようになるはずです。そういう正の方向に、よくする方向に動かすために、人の行動履歴を活用していきたいです。

ただ、すべての行動をデータ化できるわけではないでしょうから、データ上の実績はいいスコアを示す一方で、データを取得されない分野ではマイナスの行動を取るなどされた場合には、信用度のはかり方がまた難しくなりますね。その辺りはどのようにお考えですか?

中道:それはもちろん、どこまでいっても、情報が100%の解を与えるものでは当然ないでしょう。データはあくまで参考値です。でも、その参考値が多いほうが、その人を多面的により深く評価しやすくなるはずです。

尹:それに物差し自体も「1回作って完成」ではなく、常にチューニングしなければなりません。そうしたことも含めて、新しい物差しとさまざまなデータをもって、どういうはかり方ができるか、非常におもしろいチャレンジです。

信用情報を、人をいい方向に動かす「最後の一押し」にしたい

今後、10年、20年、30年と時間が経過するにつれて、フリーランスという存在やビジネスパーソンの働き方がどのように変化していくか、中道さんのイメージをお聞かせください。

中道:本業としての勤務先を持ちつつ個人として副業をする、あるいは、平日は会社員で週末はフリーランスとして働くといったように、1人のビジネスパーソンが複数の職業、複数の働き方を持つ流れは、今後も加速していくでしょう。組織や働き方も「所属する/所属しない」という概念ではなく、「プロジェクト単位で接点を持つ」という所謂ジョブ型の概念に基づき労働市場が形成されていくようになるのではないかと考えています。

2021年1月には、電通が社員の一部を雇用契約から業務委託契約に切り替え、その方々は業務委託や個人事業主として活躍していただくという制度を開始しました。あの制度の非常におもしろい点は、電通のナレッジを博報堂に持っていくことができるという点です。このように業界単位で差がなくなる社会になれば、ナレッジを差異化要因にできなくなり、プロジェクト単位の精度が高く求められ、より高い成長力が求められて社会になるのではないかとみています。

そういう社会になったとき、御社が手掛けていらっしゃる与信や信用といったものは、どういう関連性を持つとお考えでしょうか?

中道:例えば、リファレンスチェックの一つにはなり得ると思います。人間同士で仕事をする中では、多かれ少なかれ感情の影響を受けます。その感情が、どの人にどの仕事を任せるか、どの人を採用するか否かといった判断に関わることもあります。

そこで、リースが蓄積しているデータ、信用情報をもって「この方が携わったこのプロジェクトは成功したけど、これはだめだった」というのがわかれば、「この方にこの案件は任せられるけど、この案件はやめておこう」といった選択を、データに基づいてできるようになります。

そうなれば、私たちが集めた行動実績などのデータとそれをもとに判断した信用情報が、その人その人の強みを一層活かすことにつながります。それは先ほど尹が話したように、物事を正の方向に動かすことに信用情報が貢献したということになりますよね。

我々みらいワークスでは、フリーランスのプロフェッショナル人材の方々が適した案件や希望する働き方を選択できるよう、さまざまな支援を提供しています。その中で、人がパフォーマンスを最大限に発揮するためには、人と企業、人と案件のマッチングが非常に重要であると実感しています。人どうしの相性もありますし、そもそも仕事の成功度合いをはかるのも難しい。難しくて、深い領域です。そうした領域にも、信用情報を活用できるようになるといいですね。

中道:そうですね。私自身、リースという組織を運営していても、世代の違う社員とのギャップに悩むこともありますし、リースの仕事が本業ではない方に業務委託などで仕事をお願いするかどうか迷うこともあります。そういうときに頼るのは場の空気や営業力など、見えない力で背中を押してもらうことだったりします。つまり、最後の決め手はロジックではない、ということが少なからずあると思っています。

HR Techの領域になると、どこまでいってもデータだけで何かの答えを導き出すことはできないのではないかと思います。100点中60点、70点の答えを出すための参考情報として信用情報を出すことはできても、残りの30点は人間が自分で決めるということになるでしょう。

そうした中で、リースの信用情報がフリーランスやさまざまな方々の信用力を多面的に肉付けし、一人ひとりの生活基盤を安定させ、能力を活かした仕事に就くための「最後の一押し」になればと思います。

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