株式会社カネマサ
代表取締役社長
越田壮一郎

後編:副業人材のスキルと提案が老舗企業に大きな変化と改善をもたらし、会社と事業は次のステップへ

株式会社カネマサ

https://www.kanemasa-k.com/

1905(明治38)年創業。以来、石川県金沢市を拠点に、金物のノウハウの蓄積と対応力を磨いて事業を展開。主な事業は、お客様のニーズに合わせて各種金物・資材・制作金物の提案・販売・施工を行う金物販売・企画制作事業と、多種多様なアイテムをオンラインストアで販売するEC事業。EC事業では、自社運営のオンラインストア「YOKSUL(ヨクスル)」(https://yoksul.jp/)に加えて、Yahoo!ショッピング、楽天市場、Amazonの各種ECモールで販売。高い専門性と最適な提案で解決する金物のプロフェッショナルとして、お客様にご満足いただける価値提供に取り組む。

 

※役職は、インタビュー実施当時(2021年11月)のものです。

 

 

◇「Skill Shift (スキルシフト)」サービスについて◇

https://www.skill-shift.com/

「スキルシフト」は、地方企業と都市部の副業人材をつなぐビジネスマッチングサービス。地方企業にとっては人材不足の解消につながるほか、都市部で働く人材のスキルや経験を活用できるメリットがある。一方都市部で働く人材にとっても、現在の仕事をつづけながら副業として地域に貢献できたり、新たな分野にチャレンジできたりするメリットを生み出している。

都市部では認知が高まりつつある副業人材という働き方ですが、地方ではまだなかなか具体的にイメージできないという企業も少なくありません。そういう状況のなか、副業人材の活用に踏み出したのは、石川県金沢市に拠点を置く株式会社カネマサ。前編でお話をうかがった株式会社北國銀行の取引先であるカネマサは、人材紹介業を手がける北國銀行の“後ろ盾”があったことで副業人材の活用を決断できたと語ります。 

創業117年目の老舗企業であるカネマサは、EC事業を強化するプロジェクトの実施にあたり、課題解決に必要なスキルを副業人材に求め、北國銀行のサポートを通じてみらいワークスの「Skill Shift (スキルシフト)」サービスを活用し、副業人材を募集。2名に仕事を依頼し、大きな効果を得ることに成功しています。

 後編では、株式会社カネマサの代表取締役社長である越田壮一郎さんに、副業人材の活用を決めた経緯やその成果、完全リモートで仕事を進めるためのポイントなどについて、お話をうかがいました。

自社だけでは難しかった副業人材の活用を支えた“後ろ盾”    

今回、副業人材の方に仕事を依頼することになった経緯をお聞かせください。

越田さん(以下、敬称略):当社は、建築資材や建築に関する機械部品、各種工具などを販売しております。その販売形態の一環としてEC事業を展開しており、自社運営のオンラインストアやAmazonなどのショッピングモールによる販売を行っています。

とはいえ、全部で10万点を超える商材の登録だけでも手いっぱいですし、マーケティングなどの知識や経験も不十分で、EC事業をきちんと推進できているとは言いがたい状況でした。そこで、EC事業をきちんと展開するための組織や環境を社内に構築し、EC事業を強化していきたいと考えました。

その最初のフェーズとして、まずは「チームビルディングをしたい」「作業の属人化を解消したい」「マーケティング戦略を立てられるようにしたい」といった課題の解決や環境の改善に取り組むプロジェクトを実行するべく、必要な人材を求めたというのがその経緯です。

当社はこれまで、人材は基本的に正社員として雇用しておりましたが、今回はプロジェクトでスポット的に仕事をお願いしたいという希望がありました。そこで北國銀行さんにご相談したところ、ご提案のなかに「副業人材の活用」があり、詳しくお話をうかがった末に募集をすることにしました。

副業人材という働き方や人材のあり方についてはどのようなイメージをお持ちでしたか?

越田:私は展示会に行くことが多く、訪れた先でさまざまな企業や人材と出会いました。そのなかには多様なスキルをもつ副業人材の方とお会いして、そのポテンシャルに魅力を感じたことがあります。知り合いの企業でも、副業人材の方に仕事をお願いしているところがあります。とはいえ、実際に自社で副業人材の方に仕事をお願いするというのは、なかなかイメージがわきませんでした。

しかし、今回北國銀行さんからご提案いただき、副業人材の方とはどういう働き方で、どういう方がいらっしゃるということをうかがって、副業人材というあり方に対する理解が深まりました。何より、北國銀行さんがサポートしてくださるという“後ろ盾”を得られたのが心強く、副業人材の方に仕事をお願いしてみようと決めました。

そうして、当社みらいワークスの「Skill Shift (スキルシフト)」にて、ECサイトの再構築・運営のサポートをしていただける副業人材の方を募集されました。

越田:はい、16名の方から応募をいただきました。その方たちの一次スクリーニングは北國銀行さんにお願いしまして、業務経験や有するスキルなどをもとに評価をしていただきました。その評価情報をもとに当社で6名に絞り込み、面談を実施。最終的に2名の方に仕事をお願いしまして、今年2021年の4月から入っていただいております。

そのお二人の採用の決め手は?

越田:今回当社が求めていた人材像は、先に申し上げたような課題の解決・改善に向けてしっかり取り組んでいただける方。さらに細かい条件を挙げると、「即戦力であること」「ロジック思考で課題の把握や解決に取り組んでいただけること」「画像処理やサイト制作など個別業務への従事ではなく、EC事業全般を見ていただけること」「ECサイトの運用実務経験を有すること」の4つがありました。

募集時には採用人数を決めず「若干名」としていたものの、なんとなく1名の採用を想定していました。けれども、書類選考や面談を通じて検討を重ねた結果、すぐれたスキルをもつお二人をどうしても絞り込むことができず、お二人にお願いすることになったというわけです。

お一人には組織全般のことを中心に、もうお一人にはECの実務を中心にそれぞれお願いしているのですが、前者の方はECサイトの運用経験がありませんでした。しかし、ECサイトを立ち上げる企業をサポートした経験があり、そのなかでチームビルディングの実績があったということで、当社の抱えている課題のなかで組織に関する部分を見ていただけると思い、この方にお願いしました。

適切な情報共有とコミュニケーションの“共通言語”構築が連携のポイント

今回仕事をお願いしている副業人材の方との仕事の進め方について教えてください。

越田:お二人とも本業がある方で、当社の仕事は完全リモートで対応いただいています。進捗状況の共有や日々のコミュニケーションはSlackでやりとりしつつ、週1回、1時間程度のオンラインミーティングを行っています。先ほどお話ししたようにお二人にお任せしている領域が異なるので、打ち合わせも個別に設定し、事前に時間をすり合わせて、お互いの都合があう日時で実施しています。

面談から実際の仕事まですべてオンラインでやりとりされているとのこと、すばらしいですね。御社ではもともとオンラインミーティングをよくお使いでしたか?

越田:会社としては、昨年来のコロナ禍で社員のリモートワークが行われるようになったこともあり、メンバーがZoomなどを使ってオンラインでやりとりできるよう環境を整えておりましたが、これまでは活用する機会はそれほど多くありませんでした。みんなが常時使うようになったのは、今回、副業人材の方に入っていただいてオンラインでやりとりするようになってからですね。

これまでは正社員として人材を採用され、特にコロナ禍の前はオフィスで対面してコミュニケーションをとる業務スタイルがメインだったと思います。対して、副業人材の方とはすべてオンラインでのやりとりですし、契約形態も異なります。そうした違いを受けて、気をつけておられるところ、気を遣っていらっしゃるところなどは?

越田:気を遣っていることはそれほどありません。オンラインでのやりとりも、コロナ禍によるリモートワークの導入で多少の慣れはありましたし、リアルで顔を合わせなくても仕事のやりとりができることはわかっていましたので。

日々の情報共有も、副業人材の方にご提案いただいてSlackを使うようになり、ちょっとした内容も日々こまめに連絡し合えています。現場としては日常的にやりとりするのが当たり前になっており、お互いの共通言語というものをしっかり構築できています。この点は、一緒に仕事を進めるうえで重要なポイントだと思います。

社内の情報も、ある程度開示・共有しています。売上や粗利といった数字もすべて共有していますし、社内で話題になっていることや課題感などもすべてお伝えしています。

社内のチームと、社外の副業人材の方の連携という点で、難しさを感じる場面はありましたか?

越田:副業人材の方は非常に真面目に取り組んでくださって、課題の解決や改善につながるさまざまな提案をくださるのですが、それを受けて実際に動くのは社内のメンバーです。当初は、副業人材の方の仕事に対応するための社内の準備や意識が不十分で、せっかく良い提案を受けても私たちのほうで時間がかかってしまうということもありました。

また、私たちから副業人材の方にお伝えする内容が、対応してほしいタスクなのか、情報共有なのかといったことを明確にしておかないと、副業人材の方からすれば「その話を受けて何をすればよいのか」があいまいになり、せっかくのスキルを十分生かすことができなくなってしまいます。

私たちからすると、副業人材の方の仕事ぶりは本当にすばらしいとしかいいようがありません。そのすばらしい仕事と、社内の動きを、より円滑に連携できるような準備がもう少しできていればよかった、というのは、今回副業人材の方に入っていただいてわかったことです。

組織運営のノウハウからロジカルな思考まで、人材活用で得た大きな変化    

副業人材のお二人に入っていただいてから7カ月ほど経過しています。その前と今とで、変化を実感されることもおありではないかと思います。

越田:たくさんあります。例えば、それまではチームミーティングを行っていませんでしたし、スケジュール管理・タスク管理・情報共有といったことも行う習慣がありませんでした。しかし今は、日々必要な打ち合わせするようになりましたし、タスク管理ツールで各メンバーの進捗状況を全員がリアルタイムで把握することができます。

EC事業を伸ばしていくためには売上分析やマーケティングは不可欠ですが、今まではそれもできていませんでした。現在はマーケティングの概念や市場動向などを把握したうえで、マーケティング戦略を立てて施策を動かせるようになりました。売上も、以前は「売上が上がった」「下がった」という話しかできていなかったのが、今はエビデンスに基づいたPDCAを繰り返して、成果をしっかり分析・把握することができています。

作業の属人化はまだ完全に解消できてはいませんが、各メンバーの仕事内容をほかのメンバーが意識する場面も出てくるなど、少しずつ進んでいる実感があります。また、こうした変化の“副産物”というか、エビデンスやロジックに基づいた思考がチーム内で醸成されつつあるのも感じます。

今までは毎日作業で追われていましたが、副業人材の方に入っていただき課題解決プロジェクトを稼働させた結果、組織として動けるようになるための土台ができはじめています。まだスタートに立った段階ですが、今まで何もなかった分、その足がかりができたというのは大きな一歩と言えます。

EC事業の売上には変化はありましたか?

越田:EC事業の売上は右肩上がりで伸びています。ECの市場自体が伸張しているという環境の影響もあるでしょうが、副業の方とのミーティングを繰り返し、この数か月で売上を上げるために行ってきた多くの施策の効果がでていると実感しています。その施策の内容は、各モールの企画や広告、商品登録についての指導、マーケティングなど、多岐にわたります。施策のひとつひとつに内容の厚みとスピード感があり、従来の私たちのやり方や考え方だけではこのような売上の結果は無かったと思っています。今後もEC事業の売上数字を伸ばしていきたいと考えており、副業の方にどんどんサポートをお願いしていきたいですね。

改善プロジェクトによって会社と事業が次のステップに前進できた    

副業人材のお二人とのプロジェクトはいつまで?

越田:今回のプロジェクトは「改善」が大きなテーマで、実際さまざまな改善を行うことができました。今のところ、お二人にお仕事をお願いするのは2022年2月末までということになっていますが、課題や改善すべき点はまだまだありますので、引き続きお願いすることを検討しています。

課題のなかには、システム的な部分もあります。私たちの扱っている商品点数は非常に多く、ECサイトに登録するだけでも全く追いついていないような状態です。その点は副業人材の方にも課題感を共有いただいており、「このシステムなら早く進むのでは」といったご提案もいただいておりますので、いろいろお話ししながら改善プロジェクトを進めていければと思います。

他方、プロジェクトにおける改善の結果、当社のEC事業における課題の性質が変わってきている部分もあります。積み残しの課題もありつつ、次のフェーズに進んでいる部分もある。そうなると、また違う部分の課題を解決するための人材が必要になる可能性もあります。

その場合は、例えばEC事業の実務を担っていただく方、企画を担っていただく方といったように、必要なタスクをお願いできる方を積極的に採用したい。そのときはまた、副業人材の方にお願いするという選択肢も考えたいと思っています。

即戦力のプロフェッショナル人材の力を活用したことによって、御社の事業が次のステップに進むことができたわけですね。非常にすばらしい形だと思います。

越田:今回のお二人がたまたまそうだったのかもしれませんが、私たちの会社のこともよく理解してくださっていますし、本当にありがたいです。

当社は1905年創業で、今年で117年目という老舗の会社。その体制にはどうしても古い部分があり、社内の力だけで変えていくのが難しい部分がありました。私は2016年に社長に就任し、以来そのことを常に課題としてもっていました。

そういう環境のなかで、今回「スキルシフト」を通じてプロフェッショナルの方々の力をお借りできたことによって、私たちの改善を大きく前進させることができました。EC事業についても、かつては私たちだけでできることに限界を感じていましたが、今は可能性の広がりを体感している日々です。

社会は刻々と変化しており、ECの市場も日々変化しています。ですが、私たちは今まで変化していなかったのです。それが、副業人材の方に入っていただき、プロジェクトを動かしたことによって、さまざまな面で変化することができました。これは本当に大きな一歩だと感じています。

〈前編:「本当の意味でお客様の悩みに応える銀行」への変革を実現するのはITと人材〉

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